墓じまいの見積もり後に「追加料金」を請求される手口と、その防ぎ方
(2026年8月27日 調査)
【結論】いちばん多い高額請求は、石材店ではなく「離檀料」でした
墓じまいで「あとから高いお金を請求された」という話を聞くと、多くの方は工事業者を思い浮かべます。
しかし、国民生活センターが実際に公表している相談事例を確認すると、金額が突出して大きいのは、お寺に支払う「離檀料(りだんりょう)」でした。
公表されている実例です。
| 相談者 | 請求された額 | 言われた理由 |
|---|---|---|
| 80代 女性 | 約300万円 | 墓じまいを寺に申し出たところ請求された。払えないと言うと「ローンを組める」と言われた |
| 70代 女性 | 700万円 | 過去帳に8人の名前が載っていることを理由にそう言われた |
出典:国民生活センター「見守り新鮮情報 第424号」
さらに、同センターの紛争解決手続には、墓地を返したいと申し出たら「墓を返すなら30万円」と請求された事案も記録されています。
この記事は、実際に公表されている事例だけを扱います。
先に、この記事が「書かないこと」を書きます
ネット上には「墓じまいの追加料金の手口10選」といった記事が並んでいます。
そこには、たとえばこう書かれています。
- 重機が入らないから追加、と言われた
- 基礎が思ったより深かったから追加、と言われた
- 処分費は別途です、と言われた
私たちは、これらを「よくある手口」として書きません。
理由は単純です。国民生活センター・消費者庁の公表資料を探しましたが、墓じまいの相談事例としては確認できなかったからです。
あり得ないという意味ではありません。 実際に起きているかもしれません。
ただ、確認できていないことを「よくある手口」と書くのは、それ自体が不誠実だと考えます。
代わりに、確認できた事例と、そこから確実に言える防ぎ方だけをお伝えします。
離檀料には「決まった額」がありません
これがトラブルの根っこです。
国民生活センターは、離檀料について「お礼として支払うお布施の意味合いがあり、明確な料金基準はない」と案内しています。
基準が無いということは、「300万円は高すぎる」と証明する物差しも無いということです。
だから、言われた側は反論できず、黙って払うか、揉めるかの二択になります。
「相場は◯万円です」と書いてある記事に注意してください
離檀料の相場を数字で断言している記事は多くありますが、公的資料にその根拠はありません。
私たちも相場を申し上げることはできません。 言えるのは、明確な基準が存在しないという事実だけです。
高額請求を防ぐ、3つの実務
① お寺への相談は、いきなり「やめます」から入らない
300万円の事例も700万円の事例も、「墓じまいを申し出た」ところから始まっています。
国民生活センターは、離檀料に納得できない場合、家族・親族も交えて寺院等と話し合うよう助言しています。
いきなり結論を告げるのではなく、まず相談として持ちかける。 これだけで話の温度が変わります。
② 支払う前に、必ず一度止める
その場で決めない。持ち帰る。
高額を提示されたとき、最もやってはいけないのは、その場で承諾することです。
「家族と相談します」で構いません。 これは失礼ではありません。
③ 消費者ホットライン 188 に相談する
国民生活センターは、離檀料のトラブルについて188(いやや)への相談を明記して案内しています。
「お寺のことを役所に相談していいのか」と思われるかもしれませんが、実際にそう案内されています。
石材店の見積もりで、必ず確認すべきこと
工事側については、公的な「墓じまい専用の見積書のひな形」は存在しませんでした。
そこで、特定商取引法が定める書面記載事項と、上記の事例から明確化しておくべき項目を分けてお示しします。
見積書に、以下が書かれているか
| 確認項目 | なぜ必要か |
|---|---|
| 作業の範囲(墓石撤去/基礎撤去/更地化/運搬/処分の各項目) | 「更地にする」の中身が業者で違うため |
| 総額と、各項目の内訳 | 一式いくら、では比較できない |
| 追加料金が発生する条件と、その計算方法 | ここが最重要。「発生し得るか」ではなく「どういう場合に、いくら」まで |
| お寺・霊園へ支払う費用は誰が直接払うのか | 離檀料を業者が立て替える形にすると、金額が見えなくなる |
| キャンセル料 | いつから、いくら発生するか |
| 工期 | いつからいつまで |
| 支払い条件 | 前払いか、完了後か |
「追加料金が発生する条件」が書かれていない見積書は、金額が確定していないのと同じです。
クーリング・オフが使える場合があります
契約したあとでも、8日以内なら書面で解約できる場合があります。
これは、以下のような契約の仕方をしたときに適用され得ます。
- 自宅などに来訪されて契約した(訪問販売)
- 業者からかかってきた電話で勧誘され、契約した(電話勧誘販売)
8日の起算は、法律で定められた書面を受け取った日からです。
ただし、必ず使えるわけではありません
自分から業者を呼んだ場合など、適用されないケースがあります。
契約の場所だけで決まるものではないので、「自分の場合はどうか」は188に相談してください。 ここは自己判断が危険な部分です。
嘘を言われて契約した場合
消費者契約法により、重要なことについて事実と違う説明をされ、それを信じて契約した場合は、取り消せる可能性があります。
ただし、単に見積もりより高くなっただけでは該当しません。 何を言われたのかが問題になります。
「建設業許可がある業者だから安心」とは限りません
建設業の許可は、1件500万円未満の工事しか請け負わない場合、必要ありません。
墓じまいの多くはこの金額に収まります。
つまり、許可を持っていないことは、それだけでは問題ではありません。
逆に、許可があることも、料金の適正さを保証しません。
「許可の有無」を業者選びの決め手にしないでください。
よくある質問
Q. 離檀料を払わないと、遺骨を渡してもらえないと言われました。
改葬の手続きでは、多くの自治体で現在の墓地管理者による「埋蔵の事実の証明」が求められます。ここで協力が得られないと手続きが止まることがあります。
ただし、証明が得られない特別な事情がある場合、市町村長がこれに準ずる書面を認める余地が規則上あります。
まず、申請先の市町村の担当課に事情を相談してください。 泣き寝入りする前にできることがあります。
Q. 相談件数はどれくらいあるのですか。
国民生活センターの統計で「墓」に関する相談は、2023年度1,046件、2024年度1,018件、2025年度1,077件です。
ただしこれは「墓」全体の件数であり、墓じまいだけの件数ではありません。 墓じまいに限定した統計は確認できませんでした。
Q. お寺の言い値を払うしかないのでしょうか。
その場で決めないでください。 明確な基準が無い以上、提示額は「言い値」です。家族・親族を交えて話し合い、納得できなければ188へ相談してください。
Q. 見積もりは何社から取るべきですか。
社数よりも、同じ条件で比較できるかが重要です。上の表の項目が全部書かれた見積書であれば、2社でも比較できます。「一式」しか書かれていない見積書は、何社集めても比較になりません。
出典
- 国民生活センター「見守り新鮮情報 第424号」
- 国民生活センター「墓・葬儀サービス」
- 国民生活センター 紛争解決手続 平成28年度第2回 事案31
- 消費者庁 特定商取引法ガイド
- e-Gov 特定商取引法・消費者契約法・建設業法
お見積りについて
追加料金が発生する条件を、あらかじめ書面でお示しします。
現地を確認せずに金額を確定することはできませんが、「どういう場合に、いくら変わるのか」は、着工前に必ずご説明します。
ご相談・お見積りだけでも承っています。
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